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所有者不明土地対策の現在地:特別措置法・相続登記義務化・国庫帰属制度を整理する
近年、日本では相続や転居などをきっかけに、土地の「所有者が誰なのか」「所有者に連絡がつかない」といった、いわゆる『所有者不明土地』が増加しています。
過疎化や人口減少、相続登記が行われないまま代をまたぐ状況が背景にあります。
所有者が不明な土地が増えると、公共工事や再開発が進められない、森林や農地が荒れるといった問題が全国で発生しています。
こうした状況を踏まえ、国は土地の管理と活用を促進するための法改正や新制度の整備を進めてきました。その中心となるのが「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」です。

「所有者不明土地」対策のための特別措置法
この特別措置法は、平成30年に成立し、令和元年6月1日に全面施行されました。法律の目的は大きく分けて次の3つです。
・所有者不明土地を円滑に利用できる仕組みづくり
公共用途などで土地を活用したい場合、所有者が不明でも一定の手続きで利用できる制度が整備されました。
・所有者探索の合理化
従来は手間と時間がかかっていた所有者探しを、書類や調査手続きを簡素化して効率化します。
・所有者不明土地の管理体制の整備
放置された土地が荒れないよう、管理者を定める仕組みが整っています。
相続登記・住所変更登記の義務化
所有者不明土地が増える大きな要因は、「相続された土地が登記されないこと」「所有者の住所変更が反映されないこと」にあります。
この課題に対応するため、不動産登記法が改正され、義務化が段階的に始まっています。
・相続登記の申請義務化(令和6年4月1日〜)
相続で土地や建物を取得した場合、取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければならないことになりました。
令和6年より前に相続した未登記の土地も対象で、原則として 令和9年3月31日までに対応が必要となります。
・ 住所変更登記の義務化(令和8年4月1日〜)
所有者が転居などで住所や氏名が変わった場合、変更後2年以内に登記を行う義務が生じます。

土地を「手放す」選択肢:相続土地国庫帰属制度
相続したものの、管理できない・使い道がない土地を抱え続けることも問題の一因となってきました。
こうした状況に対応するため、令和5年4月より 相続した土地を一定の要件のもと国へ引き渡せる制度 が始まっています。
- 対象:相続や遺贈によって土地を取得した相続人
- 申請先:法務局(福岡の場合は福岡法務局が窓口)
- ただし、建物がある土地や管理が困難な土地など、条件によっては引き取りが認められない場合もあります。
「管理できない土地を持ち続けるしかない」という状況から、手放すことも可能になったことは大きな前進です。
まとめ
所有者不明土地の増加は、日本のまちづくりや資産管理に大きな影響を与える社会的課題です。
今回の法改正や制度の導入は、
- 放置を防ぐ
- 管理をスムーズにする
- 利活用を進める
ための重要な仕組みです。
相続や土地所有者の方は、「登記の更新を怠らない」「不要な土地は国庫帰属制度を検討する」といった行動が今後ますます求められます。
ご不明点や手続きのご相談などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
正しい理解と早めの対応が、資産を守り、次の世代への負担を軽減します。
ライター:南 浩己 AM事業部 部長

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