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将来の地雷になりかねない「不動産の共有」

相続対策というと、「相続税をいくら払うのか」に目が向きがちです。しかし、実際の相続で大きな問題になりやすいのが、不動産を「誰が、どのように引き継ぐのか」という遺産分割です。
現金であれば、相続人の人数に応じて分けることは比較的容易です。一方、不動産はそうはいきません。
自宅、店舗、賃貸アパート、土地など、それぞれ用途や価値、収益性、借入金の残高が異なります。同じ価格に見える不動産でも、「住み続けたい」「賃料収入を得たい」「売却して現金化したい」など、相続人によって希望が異なることも少なくありません。
さらに、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。一人でも意見がまとまらなければ、話し合いが長期化する可能性があります。
相続税の申告・納税期限は、原則として相続開始から10カ月。相続発生後は葬儀や各種名義変更、財産調査など多くの手続きが重なるため、10カ月は決して長い期間ではありません。
だからこそ、相続が起きてから初めて考えるのではなく、元気なうちから不動産の整理や承継方針について話し合っておくことが重要です。
「とりあえず共有」が将来の問題を先送りする
話し合いがまとまらないとき、「兄弟で2分の1ずつ」「3人で3分の1ずつ」と共有名義にすれば公平に見えるかもしれません。
実際、共有という方法は、その場では争いを避けやすく、一見すると円満な解決策に思えます。
しかし、この「共有」は将来の『共憂』になりかねません。
共有者が2人、3人のうちは連絡も取りやすいでしょう。ところが年月が経ち、そのうちの一人が亡くなると、その持分が配偶者や子どもへ相続される可能性があります。さらに次の相続が起きれば、所有者は子、孫へと増えていきます。
最初は兄弟だけだった共有不動産が、将来は甥・姪、いとこ、その先の世代まで関係する不動産になることもあります。
そうなると、
「誰がどこに住んでいるのか分からない」
「連絡先を知らない」
「会ったことすらない共有者がいる」
といった状況も現実に起こり得ます。
不動産は、売却や建替えなど重要な判断をするとき、共有者同士の調整が必要になります。意見が一致しなければ、せっかく価値のある土地や建物でも有効活用できず、空き家・空き地として長期間放置される原因にもなりかねません。
つまり共有は、相続問題を解決したのではなく、「次の世代へ持ち越しただけ」*という状態になる可能性があるのです。
第三者が共有関係に入るリスク
もう一つ注意したいのが、「共有持分」の売却です。
共有者の一人が資金を必要とした場合など、自分の持分を第三者へ売却するケースがあります。近年では「共有持分を買い取ります」と掲げる専門業者も存在します。
もし見知らぬ第三者が共有者として入ってくれば、家族間だけで話し合っていたときとは状況が大きく変わります。
共有状態の解消を目的に、他の共有者へ持分の売却や買い取りを求められるなど、思わぬ交渉に発展する可能性もあります。
「兄弟だから大丈夫」
「子どもたちも仲が良いから問題ない」
そう考えていても、家族構成や経済状況は年月とともに変化します。今は問題がなくても、10年後、20年後まで同じ状況が続くとは限りません。
大切なのは「相続が起きる前」に出口を考えること
不動産を所有している方にとって重要なのは、単に財産を残すことではなく、**「次の世代が困らない形で残すこと」**です。
例えば、
自宅は誰が引き継ぐのか。
賃貸物件は管理や借入も含めて誰が承継するのか。
複数の相続人がいる場合、不動産と現金をどのように組み合わせるのか。
将来的に売却して現金化する選択肢はあるのか。
こうした点を事前に整理しておくだけでも、相続発生後の負担は大きく変わります。
特に賃貸アパートやマンションなどの収益不動産は、「資産価値」だけではなく、今後の修繕、入居状況、借入、管理運営まで含めて考える必要があります。
相続後に誰がオーナーとして意思決定を行うのかまで考えておくことが、安定した資産承継につながります。
不動産は「残す」だけでなく「どう引き継ぐか」
相続は、いつか必ず向き合うことになるテーマです。
「まだ元気だから」
「相続はまだ先だから」
「家族仲が良いから大丈夫」
と先送りせず、今のうちに所有している不動産を整理し、ご家族で方向性を共有しておくことが何よりの対策です。
一見すると公平で円満に見える「不動産の共有」。
しかし、その判断が将来、子や孫の世代にとって大きな負担になることもあります。
不動産を“残す”だけでなく、“どう引き継ぐか”まで考える。
これからの相続対策では、この視点がますます重要になっていくでしょう。
弊社では、賃貸管理の現場で培った経験をもとに、所有不動産の現状整理や将来の活用、売却を含めたご相談も承っております。
「相続はまだ先」と思われている段階でも、早めに方向性を考えておくことで、将来選べる選択肢は広がります。
不動産の相続や承継、今後の活用方法について気になることがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
ライター:多田 敏彦 不動産事業部 統括部長

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